恋の病に、堕ちてゆく。
「大人しいのも、つまらないかな。これから24時間、加奈ちゃんの監視をするのにすぐ飽きちゃいそう」

「じゃぁ、止めればいいのに」

暇つぶしの対象にされるなんて、たまったもんじゃない!


「上からの命令だからね。こっちも色々、事情があるんだよ」


こんな男と24時間一緒に居たら、頭がおかしくなる…。


「さぁ、飲んで」


再び話題がミネラルウォーターに戻り、手の中にあるそれを凝視する。

色は透明、無臭だ。

大丈夫かな?

喉の渇きに負けて、少しだけ口に含んだ。

味もいつもと同じだった。


「お腹は空かない?」

こっちの緊張感など微塵も感じ取っていない男は、呑気にそう聞いてきた。
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