幼なじみの不器用な愛し方
あたしが座席につき、何故かその後ろに有斗が腰を下ろす。

神崎さん、あなたの席はそこじゃないです。


「唯一、中学時代いた青野は3年間ずっとクラス違ったもんな」

「有斗、仲良かったよね。サッカー部のイケメン、青野くん」

「アホ、あいつよか俺のがイケメンだろ」

「自分と比べるあんたの方が、よっぽどアホだから」

「小1からずっと出席番号1番ってやつ、中々いねぇよな。すげぇ」

「アイザワさんとかアオヤマさんとか、いてもいいのにねー」


鞄の中から筆記用具を取り出しながら、振り返ることなく会話を続ける。

出席番号1番の私の席は廊下側の一番前で、開け放たれた扉の向こうで教室の中を伺う女の子たちの姿が見えた。


その中には、まだあどけない雰囲気の女の子も多い。1年生かな。

何人かでまとまって来ているとはいえ、3年生のフロアに来るの怖くないのかなぁ。


「有斗、そこ伊藤さんの席だよ。あんたの席は1番後ろでしょ」

「俺ここがいい。変わってもらう」


あたしの髪を指でくるくる弄びながら、有斗が気怠げに言う。
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