幼なじみの不器用な愛し方
世の女の子が言われれば卒倒しそうな台詞も、あたしにはその魂胆は見えている。

傍若無人なこの男は、世話係としてあたしを傍に置いておきたいだけだ。


「バカなこと言ってると、明後日ポテサラやめてピーマン出すよ」


声色を固くして振り返ると、有斗はあからさまに顔をしかめた。


「鬼。お前の血、緑だろ」

「何とでもどうぞ」


にっこり笑ってそう言うと、観念したのか有斗は渋々席を立って後ろの席へと移動していった。



始業式の後、新しく担任になった後藤先生の号令で終礼を終えたあたし達は、部活が始まる前に昼ご飯を教室で食べるというツジと、それに付き合うという結子に声をかけてから並んで教室を出た。

昇降口についてからも、刺さる視線は減るどころか増えるばかりだ。


「1学期の初めはこんなもんだよねー……」

「何1人で話してんだ? 早く履き替えろよ」


独り言ちたあたしに怪訝そうな視線を向けて、有斗はあたしの靴箱を勝手に開けた。

反応が少し遅れて、その隙に勝手にローファーを地面に置かれる。…‥というより、落とされる。
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