幼なじみの不器用な愛し方
2つの路線が乗り入れているその駅は、栄えているとは言わないまでも最低限の施設が揃っていて、ビルの1階フロア全てを店舗に据えた本屋さんは、それなりの広さを誇っていた。
「じゃ、あたし参考書見てくるから。選び終わったら適当に入口付近にいるようにするね」
「おー」
気のない返事が返ってきて、あたしは迷わず参考書の並ぶ本棚へと向かった。
多分、有斗が行くのは漫画コーナーだろうな。興味関心が湧くとしたら、小説よりもそっちのはず。
実用書なんかは見向きもしなさそうだもん。
教材の並ぶ本棚で、最も苦手意識のある数学の参考書の中から適当そうなものをいくつかピックアップして、適度にイラストが差し込まれたものを選んだ。
レジでお会計を済ませ踵を返したところで、近くの雑誌コーナーに立つ2人の女子高生が目に留まる。
南沢学園の紺色を基調としたブレザーの制服じゃないから、他校生だ。
「……あ」
彼女達が手に取っている雑誌には見覚えがあった。
有斗が今年に入ってから専属モデルとして名を連ねている雑誌だ。
「これ、今月俳優の坂田龍次郎くんが表紙なんだよ。あたし好きなんだぁ」
「じゃ、あたし参考書見てくるから。選び終わったら適当に入口付近にいるようにするね」
「おー」
気のない返事が返ってきて、あたしは迷わず参考書の並ぶ本棚へと向かった。
多分、有斗が行くのは漫画コーナーだろうな。興味関心が湧くとしたら、小説よりもそっちのはず。
実用書なんかは見向きもしなさそうだもん。
教材の並ぶ本棚で、最も苦手意識のある数学の参考書の中から適当そうなものをいくつかピックアップして、適度にイラストが差し込まれたものを選んだ。
レジでお会計を済ませ踵を返したところで、近くの雑誌コーナーに立つ2人の女子高生が目に留まる。
南沢学園の紺色を基調としたブレザーの制服じゃないから、他校生だ。
「……あ」
彼女達が手に取っている雑誌には見覚えがあった。
有斗が今年に入ってから専属モデルとして名を連ねている雑誌だ。
「これ、今月俳優の坂田龍次郎くんが表紙なんだよ。あたし好きなんだぁ」