幼なじみの不器用な愛し方
「元々この雑誌の専属モデルだったんだっけ?」
「そうそう。今はもう卒業しちゃったけど」
「俳優業メインって感じだもんねぇ」
声を弾ませながら、女の子2人組は雑誌を手にレジに近付いてくる。
1人の視線が前を向きかけたところでハッとして、あたしは慌てて視線を逸らした。
な、なにガン見しちゃってんのあたし!
学校帰りに立ち寄った本屋さんで、たまたま居合わせた高校生が手に取った雑誌に自分の幼なじみが載ってるなんて──
「お。買えたのか」
「あ……有斗」
「いいのあった?」
「うん、見た感じわかりやすそうだった」
「それはよかった。んじゃ、帰るぞ」
あたしの手の中の参考書が入った袋を引ったくって、有斗はすたすたと書店を出ていく。
ちょっと待って、と声をかけてその後を追うあたし。
薄紅色の桜が舞う春。高校3年生。
あたし達は家が隣の幼なじみで、あたしにとって有斗は世話が焼ける存在で、有斗にとってもまた、あたしは便利なオカン的存在で、それ以上でもそれ以下でもなくて。
あたし達の関係は、これからも変わらず、ずっと続いていくんだと思っていたんだ。
「そうそう。今はもう卒業しちゃったけど」
「俳優業メインって感じだもんねぇ」
声を弾ませながら、女の子2人組は雑誌を手にレジに近付いてくる。
1人の視線が前を向きかけたところでハッとして、あたしは慌てて視線を逸らした。
な、なにガン見しちゃってんのあたし!
学校帰りに立ち寄った本屋さんで、たまたま居合わせた高校生が手に取った雑誌に自分の幼なじみが載ってるなんて──
「お。買えたのか」
「あ……有斗」
「いいのあった?」
「うん、見た感じわかりやすそうだった」
「それはよかった。んじゃ、帰るぞ」
あたしの手の中の参考書が入った袋を引ったくって、有斗はすたすたと書店を出ていく。
ちょっと待って、と声をかけてその後を追うあたし。
薄紅色の桜が舞う春。高校3年生。
あたし達は家が隣の幼なじみで、あたしにとって有斗は世話が焼ける存在で、有斗にとってもまた、あたしは便利なオカン的存在で、それ以上でもそれ以下でもなくて。
あたし達の関係は、これからも変わらず、ずっと続いていくんだと思っていたんだ。