幼なじみの不器用な愛し方
今日もうちの両親は遅くなると聞いている。

朝のうちに作っておいたサラダとカレーを自分の器によそって、ダイニングテーブルに運ぶ。

席について手を合わせたタイミングで、ちらりと有斗がこちらを振り返る気配がした。


「…………」


おーおー、横目でも感じますぞ。不機嫌オーラ。

ズモモモモ、って低い効果音まで聞こえてきそう。


「なぁに、とかあたしから聞かないからねー」


感情を繕ったりしない幼なじみが不機嫌だろうと、今更お伺いを立てたり機嫌を取ったりなんてしない。

いちいちそんなことまでしていたら、自分の身が保たないのだ。


あたしの発言に、有斗が小さく舌を鳴らす。

それから、不本意そうな様子を前面に押し出しながら唇を開いた。


「言っただろ。帰りが遅え」

「はぁ? そんなこと言ったって、委員会だったんだから仕方ないでしょ」


委員会が終わった後も、顧問の先生に捕まってたから尚更学校を後にするのが遅くなった。

……んだけど、そんなこと、来る約束もしてない有斗に言う必要ないと思うんですけど!
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