幼なじみの不器用な愛し方
カレーを口に入れながら、あたしも負けじと反論する。

しかし、そんな様子を歯牙にも掛けず、有斗は眉間の皺を深くした。


「今年もあいついんのかよ」

「……あいつ?」


なんの脈絡もなく登場した第三者。

誰のことを指しているのか見当もつかず、あたしはスプーンを口に含んだまま首を傾げた。

と、有斗は再びテレビの方を向いて、


「あの……空手部のやつ」


と低く唸るように呟く。

空手部って……あぁ。


「菊池だったら、今年も一緒だよ。唯一の3年連続実行委員仲間」

「…………」


聞いてきたくせに、なんの反応も見せない。

というか、その背中には不機嫌オーラが増したような?


「もう。なんでそんなに菊池のこと毛嫌いするのよ」


そう。他人に興味がない有斗だけど、ほとんどと言っていいほど関わりがないにも関わらず、菊池のことは1年生の頃からなぜか毛嫌いしているのだ。

一緒にいる時にうっかり菊池と会おうものなら、ものすごく険しい顔をする。
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