幼なじみの不器用な愛し方
「あたしの顔がシーサーだって言いたいワケ!?」


あたしが勢いよく噛み付くと、結子の横でパンを齧っていたツジが堪えきれない様子で吹き出すのが見えた。

肩を震わせているところを見ると、ちくしょう、面白がってるな。


『似てるだろ? 特に今のカオとか』

「似てないし! ていうか、毎回あんたがそうさせてるんでしょ!?」


世話を焼かせる張本人が何を言ってるんだか!

似てるなんてぜーったいに認めないけど!


「もう怒ったからね。帰ってきたら覚悟なさいよ」

『げ。コエー』

「後から反省したってもう遅いんだから」


じゃあね、と強めに言い置いて、電話を切る。

一部始終を見ていたツジが、おかしそうに目を細めた。


「学校にいないのに、相変わらずの存在感だなぁ」

「ねー。一瞬たりとも忘れさせないあたりが有斗くんらしいっていうかー」


同調する結子に、あたしは口をきゅっと引き結ぶ。
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