元カノ
元カノの話をする心太は、嬉しそうでもあり、切なそうでもあった。

あれ?
胸が痛い。

「まだ好きなんだ?」

祈る気持ちで、心太に聞く。

「…何を言うてるん。
おまえがおるやんけ」

少しの間ののち、心太が答える。

いや、この態度は多分まだ好きや。

ズキンズキン

頭痛がする。

それからの事はもう覚えていない。

家に帰ると、詩生里は左手に刃物を当てて、思いっきり引いた‐。


あたしの初カレはシン君じゃない。

シン君だってあたしが初カノじゃない。

わかってる。

なのに、どうしてこんなに切ないの?
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