夢の外でも君の隣に
と私が言うと、

「それはそうだけどぉ、斜め前って微妙に遠くな

い!?神様の意地悪ー!」

と芽生はさらに頭を抱えた。

康汰《こうた》は私の幼なじみ。家がすぐ隣だった

から、親が仕事で帰りが遅くなる日などは互いの家

をよく行き来していた。1人で留守番が出来るよう

になってからは頻度はぐっと減ったけど、今でも家

族ぐるみで仲良くしている。小学生から始めたバレ

ーを高校でも頑張っていて、今はキャプテンをして

いるらしい。我が幼なじみ、ほんとすごいなぁ。

「まあ切り替えて席移動しよ!はい、荷物まとめ

て、早く早く!」

少しせっかちなところのある遥花がもう自分の荷物

をすべて抱えて私達を急かしたてる。

芽生はまだぶつぶつと文句を言っていたけど、遥花

を起こらせたら地獄をみることを痛いほど知ってい

るから反論はせずに荷物をまとめる。

「えーっと、ここかな」、「また隣じゃん!よろし

くー!」、「よろしくね!」

席替えという一大イベントにまだクラス中が浮き足

立っている中、私は左隣の席に目を向ける。誰も座

っていないってことは、この席は舜君の席かぁ。

クラス一緒になったの今年がはじめてだし、ペア活

動とか気まずいなぁ。



< 6 / 10 >

この作品をシェア

pagetop