夢の外でも君の隣に
カフェの最寄りで莉心と遥花と手を振って私と芽生

は地下鉄のホームに続く階段を並んで降りる。

「今日のパフェめちゃくちゃ美味しかったね!ま

た行こうね茉莉!」

と無邪気に喋る芽生に

「なに言ってんの!次行くときは康汰とでしょ」と

返しながら電車がホームに入ってくるのを待つ。到

着のアナウンスが鳴り、電車が止まってドアが開

くと、私と芽生は帰宅ラッシュの混雑の中、押され

るようにして電車に乗り込む。電車の中はぎゅうぎ

ゅうで、残暑の残る9月。いくら車内に冷房が効い

ているとはいえ、シャツの中を伝う汗が気持ち悪

い。そうして満員電車に揺られながら2駅過ぎたと

ころで私の最寄りに到着した。芽生に手を振って電

車を降りて家に向かって歩く。6時を過ぎているの

にまだ明るい空を見上げながらふとあの日のことを

思い出した。

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