先生!見ちゃダメ!
そう。何を隠そう、千晴くんはものすごい人気者になってしまったのである。
千晴くんが教育実習に来てくれるなんて!意味ないかもしれないけど千晴くんの母校だからって理由で決めた進路、大正解だったな~!…なんて。
あのとき浮かれてた自分を殴ってやりたい。
見た目良し、性格良し、もちろん頭も良し。そんな人がどんな扱いを受けるかなんて決まってることだった。
「…私の方がずっと前から知ってたのに」
千晴くんがカッコいいことも、優しいことも、賢いことも。ぜんぶ持ってるくせに爽やかで嫌味っぽくないところも。
「惚気?」
「ちがう!ただ、私が一方的に…」
―――好きなだけ。
そう。私も結局のところ、昼休み彼の周りにいた女の子たちと、何ら変わりないのだ。人よりそのタイミングが早かっただけで。
「なら花恋も近付けばいーのに。あんな子ら押しのけてさ」
「…学校じゃ迂闊に近付けないんだもん」
そう。これなのである。
もし私と千晴くんの関係がバレたら、もしかしたら、千晴くんは先生になれないかもしれない。大学のことはあまりわからないけど、もしそんなことがあったら嫌だ。
もちろん、千晴くんが私なんかに手を出してくれるとか思ってるわけじゃないけど、幼なじみだからってだけで変に勘繰られるのも困る。