たとえば、こんな人生も②
「ほら、そういうとこ」

「?」


すかさず千夏ちゃんの指摘が入り
首を傾げる


「さらっと、相手が嬉しいと思うことを
言ったりしたりしてるの
ひなたは」

「思ったことしてるだけだよ」

「だから、天然人たらしなんだよ」


やれやれと、両手を上げて
千夏ちゃんは周りのみんなに同意を求めるように目を配らせる


「うちらも、この間
雑用押し付けられた時、手伝ってもらったし」

「髪型とか、メイク変えた時も
すぐ気付いて、褒めてくれる」

「ときめくよね
彼氏は全然気付いてくれないのに」


応えるように
こぞって、力強く頷くみんな


「なんだか、褒められてる?」

「そう。褒めてる褒めてる」

「この場合の、天然たらしは褒め言葉だよ」


……うーん


自覚はなかったけど
もし、そうなんだとしたら
それは、多分姉さん達の影響


姉さん達が、そうだから


相手のことをよく見て
ささいなことでも、気付いて
褒めたり、注意してくれる


そういう姉さんを尊敬してるから
自分も、そんな風になりたいって
無意識に姉さん達の真似をしてるのかも


「ひなたちゃんが、男の子だったら
付き合って欲しいもん」

「やー…でも、藤さんが男だったら
悪い意味での天然たらしになっちゃうよ」

「それね~」


きゃっきゃっと楽しそうに
会話するみんなを眺めながら
千夏ちゃんが持ってきたチョコレート菓子を口にいれる


!……美味しい


「気に入った?」


目を輝かせ
無言でお菓子を頬張る私を見て
千夏ちゃんは笑う


「うん。これ、どこで買ったの?」

「学校近くのコンビニ
新商品だって」

「帰りに寄ってみる」
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