たとえば、こんな人生も②
「まあ、ひなたがそれでいいならいいけどね」


姉さん達は
度々、そういうことを口にしたりするけど
それを強要はしない

私が決めたなら、それでいいならと
思うことはあっても、言葉を飲み込んで
私の意思を尊重してくれる



「そういえば、ひなた
美冬から聞いたけど
最近、よく声をかけられるんですって?」

「え…?なにそれ!
声をかけられるって……男!?
私、聞いてない!!」


シュカさんの急な話題転換に
前のめりに反応したのはアリサ姉さん

どういうこと!っと
詰めよってくるアリサ姉さんの
その気迫に圧されつつも、最近の出来事を姉さんにも説明する


「学校で、なんでかよく分からないけど
話しかけられるようになって」


本当に最近の話

通りすがりに、一年生の子から
学校の案内をお願いされたり

クラスメイトや先輩から
これまでなかった挨拶に些細な会話
部活や委員会の勧誘をされたりと

とにかく、声をかけられることが増えた


今まで遠巻きに見ているだけだった人達が
急に近付いてくるものだから
何事かと、理由が分からず困惑している



「……連絡先、聞かれたりしなかった?」

「なんで分かるの?」

「ああ~!もう…っ!」


肯定すれば、アリサ姉さんは
なぜか癇癪を起こした

がしがしと、髪の毛を掻き乱す
綺麗にセットされた髪の毛が台無しだ


「ひなたとお近づきになりたいから
適当な理由つけて、話しかけてるのよ
道案内や部活の勧誘は口実よ」

「?私とお近づきになりたい?どうして?」


シュカさんの言葉の意味が分からず
私はさらに首を傾げた


「好意や下心があるからに決まってるじゃない!!」


ソファーに顔を埋めて
苛立ちをぶつけるように、ばしばしとクッションを叩いていたアリサ姉さんが、勢いよく顔を上げて言う
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