たとえば、こんな人生も②
ふと、すぐ近くのコンビニが目には入る
……何か、買っておこうかな
わざわざ迎えに来てくれる
いつきさんに飲み物でもと立ち上がる
「!」
目と鼻の先にあるコンビニを眺めながら
何がいいかな、なんて思案しながら歩いていると
横から急に、力強く腕を引かれた
「…」
一瞬、何が起こったのか分からなくて
だけど、すぐ
自分が見知らぬ誰かに
路地裏に引き込まれたことに気づいた
反動でバランスを崩し、そのまま地面に
座り込む私
そんな私の片腕を掴んだまま
じっと、私を見下ろすそのひとは
暗闇に溶け込むような服装で
深くフードを被っていた
その下から覗く血走った目
深く刻まれたクマに
眼窩(がんか)がくぼみ、やつれた頬
無造作に伸びたひげと爪
憔悴しきってるように見えるのに
なにが愉(たの)しいのか
口元には、不気味な笑みを浮かべてる
一目見ただけで分かる
このひとは普通じゃないと
突然の出来事
あまりに異質な出で立ちの相手を前に
固まる私を眺めて
そのひとは
さらに、にやりと笑う
「!!」
抵抗する間もなく
どこからか取り出した布で、猿ぐつわをされ
片手で両手を拘束され
冷たい地面に押し倒される
声をあげることさえ出来ず
自分の身に起こっていること
そして、これから起こることを予期し
混乱と動揺で頭の中がいっぱいになる
そんな中
自分に覆い被さってくる目の前のひとに
残像のように重なる姿
血走った目
濃いアルコールのにおい
自分より、大きな体
骨張った手
どくんどくんと、心臓が騒ぐ
知らないけど、知っていた
思い出すのは
理不尽な暴力
感じていた痛み
言葉が通じない
自分の意思なんてないのと同じ
どうしようもない無力感
……………あれ?
おかしい
平気だったはず
乗り越えたはず
理不尽な言葉も暴力も
痛みも苦しみも
自分を無下に扱われるのも
少し前まで、日常茶飯事だった
……何か、買っておこうかな
わざわざ迎えに来てくれる
いつきさんに飲み物でもと立ち上がる
「!」
目と鼻の先にあるコンビニを眺めながら
何がいいかな、なんて思案しながら歩いていると
横から急に、力強く腕を引かれた
「…」
一瞬、何が起こったのか分からなくて
だけど、すぐ
自分が見知らぬ誰かに
路地裏に引き込まれたことに気づいた
反動でバランスを崩し、そのまま地面に
座り込む私
そんな私の片腕を掴んだまま
じっと、私を見下ろすそのひとは
暗闇に溶け込むような服装で
深くフードを被っていた
その下から覗く血走った目
深く刻まれたクマに
眼窩(がんか)がくぼみ、やつれた頬
無造作に伸びたひげと爪
憔悴しきってるように見えるのに
なにが愉(たの)しいのか
口元には、不気味な笑みを浮かべてる
一目見ただけで分かる
このひとは普通じゃないと
突然の出来事
あまりに異質な出で立ちの相手を前に
固まる私を眺めて
そのひとは
さらに、にやりと笑う
「!!」
抵抗する間もなく
どこからか取り出した布で、猿ぐつわをされ
片手で両手を拘束され
冷たい地面に押し倒される
声をあげることさえ出来ず
自分の身に起こっていること
そして、これから起こることを予期し
混乱と動揺で頭の中がいっぱいになる
そんな中
自分に覆い被さってくる目の前のひとに
残像のように重なる姿
血走った目
濃いアルコールのにおい
自分より、大きな体
骨張った手
どくんどくんと、心臓が騒ぐ
知らないけど、知っていた
思い出すのは
理不尽な暴力
感じていた痛み
言葉が通じない
自分の意思なんてないのと同じ
どうしようもない無力感
……………あれ?
おかしい
平気だったはず
乗り越えたはず
理不尽な言葉も暴力も
痛みも苦しみも
自分を無下に扱われるのも
少し前まで、日常茶飯事だった