たとえば、こんな人生も②
「れいかさんと会うの、久しぶりな気がします」

「そうね。ここ数ヶ月休んでいたから」

「…体調、悪いとか?」

「いいえ。前に話したでしょう?
保護施設から引き取った猫の話
あの子に時間をかけたくて」



大の猫好きのれいかさん

お家には保護したたくさんの猫がいる

病気や事故で身体が不自由になった猫や
人間に見放された猫、捨てられた猫等

かわいそうな身の上の猫達を
かたっぱなしから自分の所に迎え入れ
惜しみ無い愛情を与えて

幸せにしてあげてる



保護施設からの猫の引き取りの話は
随分前に、確かにれいかさんから聞かされた


「……もしかして、その傷って」


視界に入った瞬間から、気になっていた
れいかさんの手や腕に刻まれた
引っ掻き傷のような、たくさんの傷痕

所々、真新しい傷もある
綺麗な白い肌に咲くように、赤が散らばってる


「なかなか手強かったわ」


当の本人は
気にする様子もなく、楽しげに笑ってる
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