たとえば、こんな人生も②
☆6
『今から、会いに行ってもいいですか?』
緊張しながら送ったメールに、すぐ返事が来る
『もちろん』
返ってきた短いメールに、揺れる心
嬉しさと不安が、胸の中でせめぎあう
その感情にのまれないように
しっかり前を向いて、歩き出す
「大丈夫だって?」
「うん」
「じゃ、行こっか」
外で待っててくれた
まこちゃんに頷いて、まこちゃんの車で
いつきさんの家まで向かった
――……
マンションのエントランスまで
ついてきてくれたまこちゃん
直前になって、怖じ気づきそうになる私に
優しく微笑んで
『がんばれ』と背中を押してくれた
まこちゃんに見送られて
私は、久しぶりに慣れ親しんだ場所へ向かった
――…
目の前の扉を見つめる
少し前まで
もはや自分の家のようになっていた場所
「…」
深呼吸して
そっと、その扉に手を置いた
鍵はかかってなくて、すんなりと開いた
「…」
おじゃましますと言えばいいのか
ただいまと言えばいいのか
悩んで、無言のまま中に入れば
「おかえり」
と、リビングから顔を覗かせたいつきさんが
以前と変わらず、穏やかな表情で
玄関先で立ち尽くしていた私に
優しく声をかけてくれた
「………た、ただいま」
緊張していても、不安でも
声が聞けて、こうして会えて、言葉を交わせて
やっぱり、嬉しいと感じて
応えながら、涙が目の縁にたまる
そんな私に
いつきさんは眉をハの字にさせながらも
「おいで」っと、笑顔で私を手招いた
緊張しながら送ったメールに、すぐ返事が来る
『もちろん』
返ってきた短いメールに、揺れる心
嬉しさと不安が、胸の中でせめぎあう
その感情にのまれないように
しっかり前を向いて、歩き出す
「大丈夫だって?」
「うん」
「じゃ、行こっか」
外で待っててくれた
まこちゃんに頷いて、まこちゃんの車で
いつきさんの家まで向かった
――……
マンションのエントランスまで
ついてきてくれたまこちゃん
直前になって、怖じ気づきそうになる私に
優しく微笑んで
『がんばれ』と背中を押してくれた
まこちゃんに見送られて
私は、久しぶりに慣れ親しんだ場所へ向かった
――…
目の前の扉を見つめる
少し前まで
もはや自分の家のようになっていた場所
「…」
深呼吸して
そっと、その扉に手を置いた
鍵はかかってなくて、すんなりと開いた
「…」
おじゃましますと言えばいいのか
ただいまと言えばいいのか
悩んで、無言のまま中に入れば
「おかえり」
と、リビングから顔を覗かせたいつきさんが
以前と変わらず、穏やかな表情で
玄関先で立ち尽くしていた私に
優しく声をかけてくれた
「………た、ただいま」
緊張していても、不安でも
声が聞けて、こうして会えて、言葉を交わせて
やっぱり、嬉しいと感じて
応えながら、涙が目の縁にたまる
そんな私に
いつきさんは眉をハの字にさせながらも
「おいで」っと、笑顔で私を手招いた