たとえば、こんな人生も②
口に入れた瞬間
自然と口から、その言葉がこぼれた
「…おいしい」
「良かった」
満足気にいつきさんは笑う
向かい合っての、久しぶりの食卓
いつきさんが作ってくれたオムライスは
あの時と変わらず、すごく美味しかった
「…」
それきり、無言で
噛み締めるように
ゆっくりとオムライスを食べる私
いつきさんは
自分の分には手をつけず
しばらく
頬杖をつきながら
同じく無言で、私を眺めていた
「…」
初めて
ここに来た時の事を
オムライスを作ってくれた時の事を思い出す
あの時も、いつきさんは
今みたいに頬杖をついて
小さく笑っていた
あれは、安心していたんだと
何も食べなかった私が
生きるのに必要なことを
満足にできなかった私が
それをした姿に
安心していたんだって、今なら分かる
初めて会った時から
恋人になる前から、そうだった
生きるのが下手な私を
この人は、いつだって心配してくれて
その生き方を尊重してくれて
でも、時には、叱って
そばで見守って、支えてくれていた
投げ出しかけた時も
すべて諦めて
死ぬことを選ぼうとした時も
目の前に現れて、救ってくれた
自然と口から、その言葉がこぼれた
「…おいしい」
「良かった」
満足気にいつきさんは笑う
向かい合っての、久しぶりの食卓
いつきさんが作ってくれたオムライスは
あの時と変わらず、すごく美味しかった
「…」
それきり、無言で
噛み締めるように
ゆっくりとオムライスを食べる私
いつきさんは
自分の分には手をつけず
しばらく
頬杖をつきながら
同じく無言で、私を眺めていた
「…」
初めて
ここに来た時の事を
オムライスを作ってくれた時の事を思い出す
あの時も、いつきさんは
今みたいに頬杖をついて
小さく笑っていた
あれは、安心していたんだと
何も食べなかった私が
生きるのに必要なことを
満足にできなかった私が
それをした姿に
安心していたんだって、今なら分かる
初めて会った時から
恋人になる前から、そうだった
生きるのが下手な私を
この人は、いつだって心配してくれて
その生き方を尊重してくれて
でも、時には、叱って
そばで見守って、支えてくれていた
投げ出しかけた時も
すべて諦めて
死ぬことを選ぼうとした時も
目の前に現れて、救ってくれた