君にサヨナラを

ダチの思い

-キーンコーンカーコン-

色々なことに考えを巡らせているうちに、

いつの間にか昼休みになっていた。

「竜、さっきの話の続きしたいんだけど?」

翔はいつになく真剣な顔をしていた。

「は、おま、忘れろって。優真に怒られんだろ。」

「大丈夫だよ。あいつ、以外と良い奴だから。」

「…。じゃ、じゃぁ屋上行こうぜ。」

どうやら屋上へ行くようだ。

俺も着いていくことにした。

本当はいつも凛と中庭で飯を食うのだが、

今日はダチ達と食うからとお断りをした。

凛と食いたかったけど、今は竜の本当の思いを知りたい。

「んで?どうすんの?」

屋上に着くと素早く翔が切り出した。

「なんだよ?どうすんのってなにが?」

「凛ちゃんだよ。

だったって過去形にしてたけど、実際まだ好きでしょ?」

え?そうなのか?

チラッと竜を見ると小さくコクっと頷いた。

「好きだけどさ、このタイミングでアピールすんのはなんか、せこくね?」

確かに、竜の言う通りなのかもしれない。

周りから見れば漬け込んでアピールするせこいやつに見えるのかもしれない。

「まぁ、そうだね。」

「だろ?それに凛ちゃんさ、かなり優真に惚れ込んでるっぽいし。」

「じゃなきゃ、既に振られてるね。」

翔ははぁ…とため息をついた。

「だよな。」

「いや、なんでだよ!竜も同意してんじゃねぇよ!」

俺はついツッコんでしまった。

竜と、翔は大笑いしていた。

「翔、俺さ、今日の放課後に優真の家行って優真とちゃんと話すわ。」

「うん。それが一番いいね。」

「分かったよ。家でお前の気持ちしっかり聞いてやるよ。」

俺は放課後、竜の気持ちと向き合うことにした。

「よーし!じゃ、後2限頑張りますか!」

竜の声とともに俺たちは屋上を後にした。

その後の授業はソワソワしてしまって落ち着かなかった。

俺は変な気持ちのまま放課後を迎えた。

「おーい!翔、竜!こっちこっち!」

校門前で大声で俺たちの名を呼びブンブンと手を振る雨乃の姿があった。

その隣をちらっと見ると凛の姿があった。

「おー!雨乃じゃん!どうしたよ?」

竜が不思議そうに尋ねると、

「んー?優真くん待ちー。今日は凛と放課後デートなんだってさ。ね、凛。」

っと雨乃は答えた。

凛は照れながら、うん、っと頷いた。

可愛いなぁ。

「そっか!凛ちゃん楽しめよ!」

「ありがとう!」

竜の言葉にふふと凛は笑った。

「あ、てか優真いる?すーぐどっか行くからさ。」

竜はくるりと後ろを振り返った。

「ちゃんといるよ、2人の後ろに。ね、ゆうくん。」

ニッコリと凛が微笑んだ。

「当たり前だろ。ガキじゃあるまいし。」

「おぉ!そっかそっか!なら良かった!」

チッと俺は心の中で舌打ちをした。

「じゃぁ、ゆうくん行こっか!」

「あぁ。」

俺は凛の手をとり歩き出した。

「あ!凛ちゃん!デートって何時に終わる?

ちょっと今日さ、優真と話したいことあってさ。」

「21時には帰るよ。」

「OK!ありがとう!バイバイ!」

チラッと振り向くと3人とも心配そうな顔をしてこちらを見ていた。

本当にまだ、凛とこうしていていいのだろうか。

俺は凛の手をギュッと握りしめた。

凛は不思議そうな顔をしていたが、

笑顔で握り返してくれた。

それから俺たちは色々なところを回った。

「ゆうくん!あれ食べよ!」

凛が指さしていたのは最近新しく出来たクレープ屋さんだった。

「ゆうくんは?」

「俺はいい。」

分かったと言いレジへ向かった。

そして、嬉しそうにクレープを持ちこちらへ向かってきた。

「ゆうくんみて!くまさんクレープ!すっごくすっごくすっごく可愛いよね!ふふ。 」

「可愛いな。」

そんな俺たちを見てレジの女性は不思議そうな顔をしていた。

もう、慣れこっだ。

俺たちはあっちこっち回り楽しみそして、帰路に着いた。

「送ってくれてありがとう!じゃ、ゆうくんまた明日ね!バイバイ!」

「バイバイ」

凛とバイバイをし俺は家へ急いだ。

今から俺は竜と向き合わなくちゃいけないから。
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