君にサヨナラを
家に着いたのは21時ちょうどだった。
家に入ると、和室からおふくろ竜の声がした。
和室の前まで行くとおふくろがお盆を持って出てきた。
「ただいま、おふくろ。」
そう言って和室に入った。
しばらく黙っていた竜だったが小さの声で恐る恐る話し出した。
「…優真。俺さ、凛ちゃんのことずっと好きだったんだ。」
「そうだったんだな。」
「…黙っててごめんな。驚いたよな?」
ははっと竜は苦笑いをした。
「当たり前だろ。全然知らなかったんだからよ。」
「…俺、お前が友達って凛ちゃん紹介してくれて話すようになって、気づいたら好きになってたんだ。」
…そんな前から好きだったのかよ。
あぁ。
だから竜はあんなに嬉しそうに凛と関わってたのか。
「けど、気づいた時にはもう、お前ら付き合ってたから、応援しよって本気で思ってたんだ。」
ありがとな、竜。
「思ってた…思ってたのに、こんな状況になって…凛ちゃんと付き合いたいなって…隣にいたいって…思っちまったんだ。」
「…竜…。」
竜はずっと俯いたままで表情は分からないが、泣きそうなことだけはなんとなく分かった。
「…優真。ごめんな。ほんとごめん。こんなタイミングで…俺…ダセェな。せこいよな。ごめん。優真。」
「ちょ、おま、泣くなよ。」
ついに竜は泣き出してしまった。
「俺、絶対凛ちゃん幸せにするから…だから、もし、凛ちゃんが良いよって言ってくれたらさ…俺が凛ちゃんのこと支えても、隣にいてもいいかな?」
泣きながら必死に伝えてくるこいつを見て、
俺は、あぁ真剣なんだなと思った。
「…最低だよな。俺。ごめんな優真。怒ってるよな?俺のこと嫌いになっちまったかな?なぁ、優真。
俺に、俺に凛ちゃんを守らせてください!
お願いします…。」
「竜。頭上げろ。土下座してお願いするほど凛のこと好きだったんだな。」
竜は優しいやつだ。
ダチ思いの良い奴。
こいつなら凛を傷つけることは無いだろう。
そばでこいつを見てたからわかる。
こいつは凛のことをいつも宝物みたいに大事に大事に扱っていたから。
なんだ…こんな近くに居たじゃねぇか。
凛を頼めるやつ。
いつかは必ず来る。
あいつとの…凛とのサヨナラの日が。
俺は凛を1人にしてしまう。
一生守ると大事にすると約束したのに。
どこの誰かも分からない奴に凛を取られるくらいなら、
竜に託した方が安心だ。
凛には幸せでいて欲しい。
きっと竜なら凛を幸せにできる。
「竜。凛を頼む。」
けど、もう少しだけ凛のそばに居させてくれ。
あとどれくらい一緒にいれるかは分からないが、
少しでも長く一緒にいたい。
終わりがきたら、お前に託す。
絶対に凛を振り向かせて幸せにしてやってくれよ。
竜はしばらく俯いたまま泣いていた。
「優真、聞いてくれてありがとな。じゃ、また明日な。」
どれくらいこいつは泣いていたのだろうか。
ようやく泣きやみ笑顔で部屋を出ていった。
俺は、おふくろと2人で玄関まで送った。
「竜くん、わざわざありがとね!また来たやってよね!優真喜ぶからさ!」
おふくろはニカッと笑った。
「こちっこそありがとうこざいます。遅くまですいません。また、遊びに来ますんで!」
ぺこりとお辞儀をし歩き出した。
「またな、竜。」
ポツリと俺は呟いた。
さ、俺も明日の学校に備えて今日はもう寝よう。
俺に明日があるのかはわからないが。
どうかまだ明日がありますように。
家に入ると、和室からおふくろ竜の声がした。
和室の前まで行くとおふくろがお盆を持って出てきた。
「ただいま、おふくろ。」
そう言って和室に入った。
しばらく黙っていた竜だったが小さの声で恐る恐る話し出した。
「…優真。俺さ、凛ちゃんのことずっと好きだったんだ。」
「そうだったんだな。」
「…黙っててごめんな。驚いたよな?」
ははっと竜は苦笑いをした。
「当たり前だろ。全然知らなかったんだからよ。」
「…俺、お前が友達って凛ちゃん紹介してくれて話すようになって、気づいたら好きになってたんだ。」
…そんな前から好きだったのかよ。
あぁ。
だから竜はあんなに嬉しそうに凛と関わってたのか。
「けど、気づいた時にはもう、お前ら付き合ってたから、応援しよって本気で思ってたんだ。」
ありがとな、竜。
「思ってた…思ってたのに、こんな状況になって…凛ちゃんと付き合いたいなって…隣にいたいって…思っちまったんだ。」
「…竜…。」
竜はずっと俯いたままで表情は分からないが、泣きそうなことだけはなんとなく分かった。
「…優真。ごめんな。ほんとごめん。こんなタイミングで…俺…ダセェな。せこいよな。ごめん。優真。」
「ちょ、おま、泣くなよ。」
ついに竜は泣き出してしまった。
「俺、絶対凛ちゃん幸せにするから…だから、もし、凛ちゃんが良いよって言ってくれたらさ…俺が凛ちゃんのこと支えても、隣にいてもいいかな?」
泣きながら必死に伝えてくるこいつを見て、
俺は、あぁ真剣なんだなと思った。
「…最低だよな。俺。ごめんな優真。怒ってるよな?俺のこと嫌いになっちまったかな?なぁ、優真。
俺に、俺に凛ちゃんを守らせてください!
お願いします…。」
「竜。頭上げろ。土下座してお願いするほど凛のこと好きだったんだな。」
竜は優しいやつだ。
ダチ思いの良い奴。
こいつなら凛を傷つけることは無いだろう。
そばでこいつを見てたからわかる。
こいつは凛のことをいつも宝物みたいに大事に大事に扱っていたから。
なんだ…こんな近くに居たじゃねぇか。
凛を頼めるやつ。
いつかは必ず来る。
あいつとの…凛とのサヨナラの日が。
俺は凛を1人にしてしまう。
一生守ると大事にすると約束したのに。
どこの誰かも分からない奴に凛を取られるくらいなら、
竜に託した方が安心だ。
凛には幸せでいて欲しい。
きっと竜なら凛を幸せにできる。
「竜。凛を頼む。」
けど、もう少しだけ凛のそばに居させてくれ。
あとどれくらい一緒にいれるかは分からないが、
少しでも長く一緒にいたい。
終わりがきたら、お前に託す。
絶対に凛を振り向かせて幸せにしてやってくれよ。
竜はしばらく俯いたまま泣いていた。
「優真、聞いてくれてありがとな。じゃ、また明日な。」
どれくらいこいつは泣いていたのだろうか。
ようやく泣きやみ笑顔で部屋を出ていった。
俺は、おふくろと2人で玄関まで送った。
「竜くん、わざわざありがとね!また来たやってよね!優真喜ぶからさ!」
おふくろはニカッと笑った。
「こちっこそありがとうこざいます。遅くまですいません。また、遊びに来ますんで!」
ぺこりとお辞儀をし歩き出した。
「またな、竜。」
ポツリと俺は呟いた。
さ、俺も明日の学校に備えて今日はもう寝よう。
俺に明日があるのかはわからないが。
どうかまだ明日がありますように。