辺境騎士団のお料理係!~捨てられ幼女ですが、過保護な家族に拾われて美味しいごはんを作ります~ 2
(……よかった。あとは、何のスープを作るか考えなくちゃ!)
それにしても、こんな暮らしができる日が来るとは思っていなかった。
工房から厨房に向かって歩きながら、エルは五歳の女の子には似つかわしくない遠い目をした。
前世の記憶があるだけではない。
今回の人生、辺境伯家に引き取られるまでの間、エルはなかなか壮絶な経験もしてきた。
エルが生まれたのはエスパテーラの姓を持つ伯爵家だったが、エルの母親とは政略結婚だった伯爵は、母の死後、エルを冷遇するようになった。
それでも、最初の頃はまともな生活を送らせてもらえたのをなんとなく覚えている。容姿は悪くなさそうだから、いずれ政略結婚の駒にする――と。
それにしても、こんな暮らしができる日が来るとは思っていなかった。
工房から厨房に向かって歩きながら、エルは五歳の女の子には似つかわしくない遠い目をした。
前世の記憶があるだけではない。
今回の人生、辺境伯家に引き取られるまでの間、エルはなかなか壮絶な経験もしてきた。
エルが生まれたのはエスパテーラの姓を持つ伯爵家だったが、エルの母親とは政略結婚だった伯爵は、母の死後、エルを冷遇するようになった。
それでも、最初の頃はまともな生活を送らせてもらえたのをなんとなく覚えている。容姿は悪くなさそうだから、いずれ政略結婚の駒にする――と。