辺境騎士団のお料理係!~捨てられ幼女ですが、過保護な家族に拾われて美味しいごはんを作ります~ 2
「王妃様……殿下を抱きしめてあげたことは?」
「抱きしめる?」
「ええ、そうです。ずっと遠いところで頑張っていらしたのですもの。たくさん抱きしめないと」
「抱きしめる……」
 同じ言葉を繰り返した母は、わからないというように首をかしげていた。そんな母に向かって、ロザリアは笑いかける。
「子供は、母親と触れ合うのが大好きなんですよ。乳母はそう言っていませんでしたか?」
「そうは聞かされたけれど……」
「私は四人も育てているんです。騙されたと思って試してみてください」
 ロザリアの言葉を、母がどう受け止めたのかはわからない。
 ――でも。
 その日の夜。
王宮に戻ってから初めて抱きしめてもらった時、ハビエルは身体が一気に軽くなったような気がした。心が軽くなって、ふわふわとして。
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