辺境騎士団のお料理係!~捨てられ幼女ですが、過保護な家族に拾われて美味しいごはんを作ります~ 2
「エル、お菓子はあまり作れないの。簡単なお菓子しか作れない」
 エルはしょんぼりとしてしまった。前世もお菓子はいろいろ作ってみたけれど、あくまでも家庭で作るお菓子の延長である。
 王宮の菓子職人達が作るお菓子の方がはるかに美味しい。
「辺境伯領には、お菓子職人がいないから……」
「そうなの?」
「うん。王都に来た時に食べるか、王都から買ってきてもらうかなの。あとはエルが作るか」
 領地の人達の甘味と言えば、生の果物かドライフルーツ程度である。
砂糖の流通量が多くないため、菓子は入手しにくい。それは辺境伯領でも変わらず、以前は蜂蜜をそのまま舐めていたぐらいだ。
今でも提供されるのはエルが作れる程度のお菓子だけで、凝ったものは出ない。
「殿下は、お菓子好き?」
「好き。マドレーヌ、大好き」
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