辺境騎士団のお料理係!~捨てられ幼女ですが、過保護な家族に拾われて美味しいごはんを作ります~ 2
 叫んだラースに叫び返しておき、エルを抱き上げたネーネが高く跳躍する。そのまま後方に大きく飛びのいたかと思うと、そっとエルを一段高くなったところに下ろした。
「エル様はここにいて。精霊達、エル様をちゃんと守るのよ?」
 鞄から飛び出したジェナとベティが、エルの左右に立った。エルはスズをぎゅっと抱きしめた。クレオの戦いぶりはともかく、兄達が強いのは知っている。大丈夫だ、問題ない。
「クレオ、お前下がっとけ!」
「下がりませんっ!」
 ラースの声にも、クレオは従おうとはしなかった。それでいいのだろうか――いや、よくないだろう、絶対に。
「クレオ、エルのとこに来て! エルにも護衛が必要!」
 スズを抱えたまま叫ぶけれど、エルの声はクレオには届いていないようだ。
「――僕にだってできる!」
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