辺境騎士団のお料理係!~捨てられ幼女ですが、過保護な家族に拾われて美味しいごはんを作ります~ 2
 布の端が外に出てしまわないよう、中に折り込みながら、部品の口を縫い留める。
 時々手を止めて足をぷらぷらさせて、そっと毛並みを撫でてみて。こうやって手を動かしている時間も愛おしい。
 部品が一個完成したら、側にいるベティとジェナにも見せてあげる。二人とも上手だと誉めてくれているような気がして、エルの機嫌はますますよくなった。
 
 全ての部品を縫い上げられたのは、縫い始めてから五日目のこと。
「くみたてるぞー!」
 おーっとエルが一人で右手を突き上げると、ジェナとベティがカタカタと音を立てる。話すことはできなくても、ちゃんと心は通じ合っているのだ。
 裁縫部の人達も、ぱちぱちと手を叩いてくれる。
「ここを縫えばいい?」
「はい。しっかりと縫い留めてくださいね」
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