辺境騎士団のお料理係!~捨てられ幼女ですが、過保護な家族に拾われて美味しいごはんを作ります~ 2
 足をぱたぱたとさせ、体勢を整えてもう一度立ち上がろうとする。今度はぷるぷるしながらも成功し、テーブルの上をよたよたとエルの方に歩いてきた。
「おおお、これはもしや!」
 この感じ――ジェナとベティが仲間になった時と一緒だ。エルは、ぬいぐるみの方に手を差し伸べた。
「もしかして、エルの新しいお友達?」
 そう、というようにふさふさとした尾が揺れた。
 エルは唇を尖らせた。精霊が宿った品と「友達」になるには名づけをする必要がある。
 さて、どんな名前がいいだろう。
(うーん……)
 ぽん、と頭にひらめいたのは。
「スズ、スズってお名前どうかな?」
 新しい精霊――スズはまたも尾を揺らした。今度は身体も前後に揺さぶっている。よほど気に入ったようだ。
「わあ、こんな風に精霊が宿るのね!」
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