辺境騎士団のお料理係!~捨てられ幼女ですが、過保護な家族に拾われて美味しいごはんを作ります~ 2
 同じ台詞(せりふ)を繰り返して、またもやけらけらと笑う。その笑いに無理をしている様子はまるで感じられなかった。
(うん、アルドはもう大丈夫だな)
 辺境伯領に出向になった当初、アルドはすべてにおいて無気力だった。
 婚約者がいるのに遠く離れてしまえば、自信もやる気も失うだろう。辺境に行く理由が、アルド自身の失敗にあったとなればなおさら。
 なぜか婚約者に振られたと思い込んでいたアルドは、最初のうちはエルの目にもどうかと思われる態度だった。
 だが、思いきって婚約者のエミーと連絡を取ってみれば、アルドは見捨てられてはいなかった。
 エルから見れば、アルドと結婚しようというエミーの懐(ふところ)の深さには頭の下がる思いだが、そこはそれ、人の恋愛事情に必要以上に口を挟むべきではない。
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