辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~


 城下町に行くという事で、動きやすいシュミーズドレスにストローハットを被り、ブーツを履くという軽装だったけど、シュミーズドレスの裾は足首付近までの長さでとても綺麗な装飾が施されていた。
 
 スカートや袖の裾には蝶の刺繍が幾つも施され、そこに宝飾が散りばめられていて、布は裾に向かってピンクのグラデーションになっている。腕はジゴ袖でとても腕が動かしやすい……それでいて美しい刺繍が入っているのでオシャレで可愛らしいわ。

 ストローハットのリボンも赤に近いピンクで、テオ様の髪色のようでとても気に入ってしまった――

 髪はエリーナによって結い上げられてはいるものの、襟足の部分は残して巻いている。


 ステファニー様がお化粧もしてくれて……


 こんなにオシャレをして出かけた事がないから、少し緊張してしまう。テオ様に変に思われないかしら――



 階段を降りていくと、テオ様は少し上ってきて片手を差し出して迎えてくれた。


 「……いかがですか?」


 「………………うん、とても……美しい…………外に出したくないな……」

 「テオ様…………良かった」


 私が笑顔で応えると、突然抱きかかえられてしまう。
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