辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~


 大きなバルーンアートも欲しいけど、お土産で売っているバルーンで作った動物が可愛くて欲しいなぁ――やっぱり自分はまだお子様なのかしら――――

 
 「あそこのお店に入ってみましょうよ」

 
 ステファニー様が指を指したのは、バルーンで作られたお家だった。これはお店?入ってもいい物なのかしら?もの凄い量のバルーンだわ……テオ様は入れるのかしら――

 そんな事を考えながらドアのようなものを開いてみると、中は子供たちの遊び場になっていた。これはさすがに私たちが入っていい場所ではないわね。ステファニー様も察したようで、渋々諦めていらっしゃった。その姿が可愛らしくい…………普段は勝気なのに子供のような魅力のあるお方だわ――


 そんな事を考えながらステファニー様を見つめていると、後ろから私たちに向かって声が聞こえていた。



 「おや?そこにいるのは我が親友のテオドールとステファニー嬢ではないかな?」



 「?!」


 皆が驚いて振り返る…………そこにはテオ様と負けず劣らず背が高く、体付きこそ少し細めではあるけどスマートな男性が優雅に立っていた。エメラルドブルーの長めの髪を後ろで束ね、サイドを少し残していかにも知的な雰囲気を醸し出している。

 
 女性が寄ってきそうな甘いルックスで、道行く人々が振り返っていた――ただ立っているだけなのにここまで目立つお方はテオ様以外では初めて見たわ――――

 そう言えば我が親友と仰っていたし、ステファニー様とお知り合いという事は…………
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