辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~
「……皆の分を取ってきたよ。ここに願い事を書いて、真ん中の蝋に火を付けて飛ばすんだそうだ」
「ありがとうございます。あの…………テオ様。お聞きしたい事が……」
私はステファニー様とブルンヒルド様に聞こえない場所で、テオ様に二人の事を聞いてみる事にした。
「ブルンヒルド様は…………もしかしてステファニー様の事がお好きなのでは?」
「……ロザリアも気付いたか?二人は本当は想い合っているんだ……」
やっぱり――――ブルンヒルド様はステファニー様に触りそうになると手を引っ込めて、ずっとそれを繰り返しているから、もしかしてと思ってテオ様に確認してみたのだけど……ステファニー様に触れられないのに他の女性には触れるっていうのも――――
「ちなみにステファニーもそれには気付いていて、ヒルドが自分に気を遣い過ぎている事で全然進展しないから、もう諦めかけているんだ……」
「え………………それは……どうしてブルンヒルド様はステファニー様にそこまで気を遣うのですか?」
「ステファニーは昔から綺麗で有名だったから、言い寄ってくる男が後を絶たなくて、付きまとわれていた事があってね。行き過ぎたヤツに襲われて恐怖が抜けなくて……その時に助けに入ったのがヒルドだったんだけど、ヒルドの手も振り払ってしまった事で二人が気まずくなってしまったんだ。もう何年も前の事だし、ステファニーの方はその時の恐怖は克服したから大丈夫なんだろうけど、ヒルドの方が重症だったんだな……未だに引きずっている」
「………………きっとブルンヒルド様は、ステファニー様の事が本当に大切なんですね。次に拒否されたら、もう立ち直れないと考えているのかもしれません……」