辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~
テオ様とすれ違った時の事を思い出して、胸が痛くなる。私はテオ様がちゃんと伝えてくれたから運が良かったのだと思う。
「ロザリア~~~私よりもずっと年下なのにとってもしっかりしているね!今日は君に話せて良かったよ!」
「ヒルド様、お役に立てて私も嬉しいです」
ヒルド様はとても悩んでいたのか、自身のやるべき事、なすべき事が分かって嬉しそうだわ……そして私の両手を握って泣き顔をしている。
私はお二人には想いが通じあって幸せになってくれたら嬉しいので、お話が聞けて本当に良かった。そこへ――――
「………………ヒルド……………………私の留守中に……我が妻に何をしている?」
執務室の入口には、鬼神の如く仁王立ちをしているテオ様がいた。
「あ…………いや、その………………これは違うんだ………………」
「こんなところにいる暇があったら仕事をしろ!」
ヒルド様に怒りをぶつけた後、私を抱き上げてヒルド様から離したテオ様は、まだ怒りが収まらないでいる。
「テオドールは厳しいな~~~ロザリア助けてよ~」
私は二人のやり取りが面白くて、助けるよりも笑ってしまい……ただ見守っていたのだった。