辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~

 
 それが私自身の自信にもなり、ここに来た時よりも卑屈な気持ちは出てこなくなっていた。


 それもこれもテオ様のおかげね。葉が赤く色づいてくる季節にテオ様のお誕生日が来る。私は何か贈りたいと思って…………手作りの物を贈る事にした。細い刺繡糸を沢山使って編み込み、ブレスレットに作る。それをお守り替わりに付けていてほしくて…………


 「ちょっと地味かしら……」



 私がそのブレスレットを編んでいる時、エリーナにそれとなく聞いてみた。


 「そんな事はありません。旦那様は喜ぶに決まっていますわ!ロザリア様自らが作ってくださったプレゼントですもの……喜ぶお顔が目に浮かびます」

 「そうだといいのだけど……」


 つまりデザインよりも誰が贈るかが大切って事なのね……ちょっと複雑な気持ちだけど、私が贈る事で喜んでくれる人がいるのは幸せな事よね。

 他国ではミサンガと呼ばれる事もあるこのブレスレットはお守りになるらしく…………命の危険と隣り合わせのテオ様には、いつも付けていてほしいなって。



 模様はテオ様の髪色である赤とオレンジと白を使って炎を入れながら、黒と私の髪色であるシルバーアッシュで背景に模様を入れる感じにした。
 
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