辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~
「言ってくれれば手伝いに来たのに……」
「そうだよ、これだけ用意するのは大変だったんじゃないかい?」
ステファニー様もヒルド様もお優しいから、私を気遣ってそう言ってくださる。
「大変でしたけど、初めてお祝いをするのでワクワクして楽しかったです!ステファニー様もテオ様の誕生日を教えてくださって、ありがとうございます」
「お礼には及ばないわ。ロザリアなら絶対お祝いしたいだろうと思って」
「はい!ステファニー様に教えていただいてから手作りのプレゼントを作ってみました……喜んでくれると嬉しいですけど」
「そんなの喜ぶに決まっているじゃない!テオドールのデレた顔を見るのが楽しみだわ……ふふっ」
そう言ってステファニー様は少し悪いお顔で笑っている……皆の前でプレゼントを渡そうかどうしようか、迷ってきてしまったわ。そんな事を考えているうちにテオ様が帰ってきたという知らせが入ったので、エントランスホールに皆が集合した。
「ただいま帰った…………」
『おかえりなさいませ、旦那様!お誕生日おめでとうございます!』
「?!」
クラッカーや紙吹雪がホールに舞い、テオ様は驚いて目を白黒させていた。自身の誕生日だという事も忘れていたのではと思えるほどに……