辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~
季節は冬の終わり……二人で質素な馬車に揺られながら、リンデンバーグ国とボルアネア国の国境まで差し掛かった。
関所では役人が私たちを怪しげな目で見ている……それもそのはず、私は花嫁とは程遠い質素な服装で来た。お城でもドレスを新調してもらった事などないから、そもそも持っていない。
こればかりは仕方ないのよね…………でも通行証を見せると、私がリンデンバーグ国第5王女だと納得してくれて通してくれた。
良かった…………無事に国境を越え、ボルアネア国に入る。
「姫様、無事に通過出来て良かったですね!」
エリーナが満面の笑みでそう言うのでおかしくなってしまった。
「ふふっエリーナったら……そんなにリンデンバーグを出られた事が嬉しいの?」
「もちろんです!あそこにいたら、姫様も私も腐ってしまいます……ようやく息が出来たような気がします」
「エリーナったら……まだ歓迎してくれるとは限らないわよ。でも、そうね…………あそこにいるくらいなら、他所で生活した方がマシだと思えるかもしれないわね……この結婚が吉と出るか凶と出るか分からないけど、私は少しだけワクワクしているの」