辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~

 ちょっと苦戦したけど、無事にテオ様の腕に装着されたミサンガは銀糸が輝いている。


 「ロザリーの色も入っているんだね。凄く綺麗だ…………本当にありがとう。今まで生きてきた中で一番嬉しい誕生日になったよ」

 「本当ですか?嬉しいです…………私にとってもテオ様の誕生日は特別な日なので……お祝い出来て嬉しいです」


 「君にはもらってばかりだな、いつも」


 そんな事はないのに。私の方こそテオ様にいただいてばかりいる。


 リンデンバーグにいた時とは比べ物にならないほど豊かな暮らし、安心して暮らせる日常、エリーナも嬉しそうだし、お城の皆も優しくて、何より素敵な旦那様の優しい心遣い――――


 「……私の方こそいただいてばかりなのです。こんなに幸せでいいのかなって、時々不安になりますけど…………」

 「いいんだ、私が君を甘やかしたいんだ。全部君の物なんだよ、ベルンシュタットも……私も…………」



 私の頬を両手で包み、そのまま優しいキスをくれる――――いつまでもこのままでいたいような……離れがたい気持ちを残して、唇はゆっくりと離れていく――


 私はテオ様の胸に顔を埋めて、早く自分の誕生日が来てほしいと切に願ったのだった。

 
 
< 120 / 212 >

この作品をシェア

pagetop