辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~
「そんな事は気にしないでください!それにエリーナさんの怒りっぷりには負けます」
「ふふっエリーナはいつでも私の味方でいてくれるから」
「私はロザリア様の為なら鬼にもなれますよ~でも誤解だったので旦那様には申し訳ない事をしましたが……」
エリーナは本当に鬼になりそうで皆で笑ってしまった。こんなに皆と打ち解けて、穏やかな日々を送れるような人生が私に待っているなんて――
「もうすぐ年が明けたらベルンシュタットに来てから二年が経つのね…………敗戦から二年が経つという事よね。お父様たちは元気…………にやっているわよね……」
私はもうリンデンバーグの人間ではないし、あそこに戻る気持ちもない。でも時々ふと思い出す事があるのは、やはり家族としての情なのかしら――
もうお会いする事もないだろうし、会いたくもないけど、死んでほしいわけでもない。
「あんな人たちの事はもう忘れた方がいいのです!ロザリア様にとって害にしかなりませんよ。ロザリア様を旦那様に嫁がせた事で、国を取り戻したようなものじゃないですか……結果的にはここに来て良かったものの、ロザリア様の事なんて道具とかその程度にしか…………」
「エリーナさん」
「あ…………申し訳ありません、ロザリア様……」
「……いいのよ、エリーナ。本当の事だし、今更傷ついたりしないわ。レナルドもありがとう。私は今がとても幸せだから、ここに来て良かったって思っているし……皆に感謝しかないの。私はとても運が良かったのかもしれないわね……」