辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~
テオ様に皆の様子を話したら、まさかの返答だった。陛下へのご挨拶?………………私は頭が真っ白になってしまう。
「その時にロザリーの事も紹介しようと思っているんだ。陛下も君の事を気にかけてくれているから……元気な姿を見せてあげたくて」
「そうなのですか?」
「ああ…………陛下は元々温厚な方で、争いは好まないお方なんだ。我が国は資源が豊富だし、他国がよく攻撃を仕掛けてくるんだけど、本当は戦いなど望んでいない。私も出来れば平和な世であってほしいと思っているよ……だからリンデンバーグがなかなか引いてくれなくて、やむを得ず制圧するしかなかった」
「…………お父様が引く事はない、ですわね……プライドの塊のような方でしたし、王族として生まれたからには野望のようなモノも持っていたと思います」
今思えば、引き際は沢山与えられていたのだと思う。でもそれはお父様にとっては無理な話だったのよね……愚かな王に振り回されるのは民だと言うのに。
「そうだな。そういうのは一生捨てられないものだろうな……人は簡単には変われない。これからどうしていくのか、陛下も注視している。そのリンデンバーグから嫁いできた君が、我が国でどのように過ごしているのかを気にしておられるのだろう。私が妻に迎えたいと言ったのもあって、興味があるのかもしれないけどね」
私は思わず顔が赤くなってしまう……テオ様が私を妻にしたいと陛下に進言してくれた話は聞いていたけど、出会った時からの運命を感じて顔に熱が集まってくる。
「私は幸運だったのです。テオ様が私を見つけてくださったから……」