辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~
ダンスレッスンとドレス
日々舞踏会への準備に励み、春の陽気が近い季節になった。今年は舞踏会での社交界デビューがある為、それまで庭仕事は禁止とされてしまう。
侍女たちやエリーナに「手が傷んでしまったら大変です!」と注意され、侍女長のモネには「辺境伯夫人たる者が庭仕事で手が傷むなど、以ての外」とピシャリと言われてしまう始末で…………しばらく庭仕事には出られないわね、レナルドにも謝らなくては。
そして舞踏会へ出席するにあたって、一番の問題はダンスである。
私は王族としての教養をあまり受けてこなかった為、ダンスについても得意ではなく……体も小さかったし、レッスンしてくれる人もなかなかいなくて、ダンスの練習がとてもハードだった。
「1、2、3!1、2、3!もう少し足を後ろに!」
ダンスのレッスンをしてくれる先生は私よりも年上の女性で、とても若々しくて動きが機敏だった。背筋がピシッとしていて素晴らしいわ……先生は男性役をしてくれて、それに合わせて踊る……私も先生みたいな流れるような動きをしたい。テオ様に恥をかかせたくないわ――
「…………少しお休みになられますか?」
気を遣ってくれるのね……厳しさの中にも思いやりがあって、信頼出来る先生を招いてくれた事が分かる。テオ様に感謝しなくては。
「ありがとうございます。でももう少し頑張ります!ここのステップが出来るようになりたくて……」
「良い心がけですわね。分かりました、ではもう一度。1、2、3!」