辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~
私がそう言うとエリーナが涙ながらに両手をガッチリ握ってきた。
「姫様~~きっとこのエリーナが姫様を幸せにしてみせますから!」
「……もう、エリーナは大げさね。それにもう姫様じゃなくなるのよ。まだ14歳だけど、ベルンシュタットには嫁ぎに来たのだから……」
「は!そうですね!今度から奥様って呼ばなければですね……承知いたしました!」
「………………だから、まだ早いってば……」
私の後半の言葉は、エリーナに全く届いていなかった。
そうこうしている内にベルンシュタット辺境伯領の城下町に入り、遠くに大きな城が見える。ベルンシュタット辺境伯領はとても大きく、国とは別に強大な軍を持ってボルアネア国の国境を守っている。
そんな軍を持つ領地ともあって、戦になっても守りやすい造りになっているのは一目見れば分かった。城は領地を見渡せる高台に造られ、城の周りは強固な城壁が幾重にもそびえ立っている。