辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~
最後の階段の数段前にテオ様が上ってきて、エリーナに代わって手を引いてくれる。スマートに引き寄せて、私の手の甲に口づけした。
「ロザリー………………美しすぎて上手く言葉が出て来ない。私がエスコートしてもよろしいのですか?」
「喜んで……テオ様もとても素敵ですわ。言葉にならないくらい…………」
「良かった。嬉しいよ…………では、行こうか」
「はい!」
私は笑顔で返事をして、馬車で王宮へと向かった。
王宮への道のりは3時間ほどかかったけど、道は整備されている街道だったので大きな揺れもなく、快適な馬車の旅だった。馬車の中では何度もテオ様が私の頬にキスをして、舞踏会に行きたくない、と呟いていた。
「テオ様ったら、そういうわけにはいきませんわ」
「…………自分で贈っておいて悪いとは思うけど、こんな姿の君をみたら………………」
「……私も同じ気持ちです。テオ様があんまり素敵だから、女性が寄ってくるだろうなって思うと……テオ様のお気持ちが分かってしまいました。でも皆に見せたい気持ちもあるのです。こんなに素敵なお方が私の旦那様ですって…………」
「旦那様…………ロザリー、もう一度旦那様って言ってくれないか」
「…………旦那様」