辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~
お願いされたので旦那様と呼ぶと、テオ様は顔を赤くして喜ばれている……そんなに嬉しいものなのかしら…………テオ様が喜ぶなら何度でも呼んであげたい。
「旦那様、今宵の舞踏会は存分に楽しみましょう」
「あ、ああ…………そうだね……」
赤い顔をして返事をしてくれるテオ様が可愛らしくて笑ってしまう。いつの間にか馬車は、王宮が見える場所まで来ていた。
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馬車から見る初めての王宮は、壮麗で美しく、リンデンバーグとは国力が全く違うという事が良く分かる。華美でありながら、防衛機能もある作りになっていて、このような国に攻撃をしかけていた母国の事を考えて頭が痛くなった。きっと愚かな国だと思われているでしょう…………そこからやってきた、14歳の第5王女。
この国の貴族がそのような王女を妻にしたテオ様をどのような目で見ていたのか……考えただけで胸が痛む。
もしテオ様が私を見つけてくれなかったら、もし陛下がこの結婚を許可してくださらなかったら…………今日は陛下に感謝を述べなければならないわね。
私はもう14歳の子供ではなく、16歳になって社交界の仲間入りをするのだから、妻として恥ずかしくないように背筋を伸ばして堂々としていなければ――