辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~
私とテオ様は馬車を下り、従者が案内をしてくれて、舞踏会が行われるホールの入口まで連れて行かれた。案内されている途中に中庭と思われる場所が王宮の中央にあり、月明りに照らされていて、とても素敵だった。
後で息抜きに来てみたいわ……そんな事を考えながら、入口で名前を呼ばれるのを待つ。
『ベルンシュタット辺境伯様とその奥方様がご到着なさいました!』
大きな両開きの扉がゆっくりと開かれる…………私はテオ様の腕に手をかけ、二人で入場した。
周りの貴族たちが一斉に私たちの方を見る――――もの凄い注目されているわ……皆ザワザワしていて、あのリンデンバーグの王女……という言葉が聞こえてきたのでビクッとしてしまう。覚悟はしてきたけど、いざ耳にすると耳が痛いものね…………テオ様はそんな私に気付いて、私の手を取りホールにいる自身とお付き合いのある方に紹介して回ってくれた。
テオ様とお付き合いのある方は私に好意的で、変な態度を取られる事はなかった。
良かった…………と胸を撫でおろした時、ステファニー様とヒルド様の名前がアナウンスされ、また一段とホールの雰囲気が色めき立った――――