辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~

サロンで楽しくお喋りするはずが…



 王族への挨拶が終わり、音楽が鳴り始めたのでダンスタイムが始まった。


 テオ様は私をファーストダンスに誘ってくれて、私は右手を差し出した。私の左の背中辺りにテオ様の右手が添えられ、私は左手をテオ様の肩に乗せる……身長差があるので、乗せるのが大変だったけど、私もベルンシュタットに来て5cmほど伸びていたので何とか乗せる事ができた。


 あとは先生とのレッスンを思い出して二人で踊り始める――――


 上手く踊れているかは分からないけど、何となく形になっているような気はした。先生とのレッスンのおかげね!


 「テオ様はとてもお上手ですね……」

 「そうか?ロザリアだって練習の成果が出ているじゃないか」

 「もう……テオ様が紹介してくださった先生の教えが、とても良かったおかげですわ」

 「ダンスなんて気にしなくて良かったのに……でも頑張る君も可愛らしくて、たまに覗いていたよ」
 「え?!」


 それは初耳だわ…………まさか見られていたなんてっ…………その話が出た瞬間にターンをしたので、それについて話す事が出来なくなってしまった――テオ様は笑って誤魔化してしまうし、それ以上追及出来ないわ……


 最初の2曲を一緒に踊って、私の体力が限界にきたので少し小休止する事にした。

 
 私が息を切らしていたので「何か飲むものを取ってくるよ」と言ってテオ様は私が飲めそうな物を取りに行ってくれた。少し壁の花になっていたところにステファニー様が踊り終えて話に来てくださった。
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