辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~


 「テオドールは飲み物を取りに行ったの?」

 「はい、私が体力がなくて……喉が渇いてしまったので」

 「ダンスは大変だから疲れても仕方ないわ。私も3曲で休憩させてもらったもの。ヒルドはお付き合いのある方たちのところで話しているみたいだけど、やっぱり殿方は体力あるのね……」


 ステファニー様が呆れたように言ってらっしゃるけど、ヒルド様を見る目は優しさに溢れている。


 「ステファニー様、ヒルド様との事……本当に良かったですね」

 「…………ロザリア……あなた達にも迷惑をかけてしまって申し訳ない事をしたわ。でもあなたに相談したってヒルドが言っていて、その後からヒルドが今までの事とか自分の気持ちを伝えてくれたの」

 「あの時、ヒルド様はステファニー様が自分への気持ちを諦めてしまった事に落ち込んでいて……今度はヒルド様が気持ちを伝える番だと、生意気にも言ってしまったのです…………」

 「生意気だなんて!そのおかげで進展したのだから、感謝しかないわ。ねぇ、ゆっくり話したいし、隣のサロンに移ってお茶でも飲みながらおしゃべりしましょうよ」
 「あ、でもテオ様が飲み物を…………」

 「ヒルドに伝えておくわ。テオドールにロザリアを借りるって言っておいてって。先に行って待っていて、扉を出てすぐのサロンだから……」


 私にそう伝えるとステファニー様はヒルド様のところに行ってしまった……ヒルド様とステファニー様がお話するところを見て大丈夫と思った私は、扉を出てサロンに移動した。入場の時は気付かなかったけど、扉を出てすぐのところにこんな休憩室があるなんて気付かなかったわ――
< 143 / 212 >

この作品をシェア

pagetop