辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~
「…………ステファニー……」
ヒルドは苦しそうに私を見つめて、優しく包み込むように抱きしめてくれた――
「私は君の事を何も分かっていなかったんだね。君が汚れているだなんて、そんな事あるわけがない。今まで私が触れる事でステファニーを傷つけてしまうのではって思うと、触れなかったけど……それで君を傷つけてしまっていたなんて。本当にごめん」
「ヒルド…………」
私はヒルドの言葉に涙が流れて……私が手を払ったからヒルドを傷つけてしまったのかと思っていた。でも違ったのね…………ヒルドも私を想ってくれていた事が分かって嬉しかった。
「君はずっと私のお姫様だよ、ステファニー。ずっとずっと好きだった。私のプリンセス……」
ヒルドはそう言って、私の大事なファーストキスをようやくもらってくれた。
~・~・~・~
年が明けて、ヒルドが私に見事なドレスを贈ってくれて、それを着てヒルドにエスコートしてもらって舞踏会に出席した。
テオドールとロザリアの二人も素晴らしい装いで出席していて、いつもより楽しい舞踏会にすっかり浮かれていたの。
ロザリアと、ヒルドとの関係で二人で話していたら盛り上がったから、もっと沢山お喋りしたくて二人でサロンに行きましょうと私は提案した。ヒルドにテオドールへの言伝を頼んでいる最中にテオドールが戻ってきて、あれこれ話していたらロザリアのところに行くのが少し遅くなってしまって…………