辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~
これは私の手を乗せればいいの?
エリーナを見ると頷いていたので恐る恐る手を乗せると……突然ぐいっと引っ張られ、鎧をしっかり着込んだ真っ赤な髪色の大きな男性に抱っこされる形になった。
「え…………え?…………」
この真っ赤な髪は…………あの時森で助けてくれたあの人だ………………テオドール様……私を抱っこするような状態なので、テオドール様の顔が目の前にあり、私は驚きを隠せなかった。
精悍な顔付きなのに目は垂れ目で細く、優しそう……とても美しいわ…………冥王とまで言われている人物とは思えない美しさ。
テオドール様は私の顔を見るなり、ニコッと優しい笑顔を見せて「ようこそ、ベルンシュタット辺境伯領へ。お待ちしておりました、ロザリア姫」
私は抱っこされている恥ずかしさも忘れて、目の前の優しい笑顔に釘付けになってしまった。これが私の人生で初めての恋で、最後の恋になる人との出会いだった。