辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~
「…………っく…………放せ!」
「っ放すものですか!誰か――!!」
男は足を思い切り振り払って、私を廊下の方へ吹っ飛ばした。私は床に打ち付けられて身動きが取れなくなる…………そこへホールからの両開きの扉が開き、ヒョコっとヒルドが顔を出した。
「ヒルド!あの男がロザリアを!!」
男はヒルドの存在を確認してマズイと思ったのか、ロザリアを抱えて走り去ってしまう――――
ヒルドはすぐにその場からテオドールに伝えて、テオドールが男を追っていく――ヒルドは倒れている私の元に駆けつけてくれた…………
「ステファニー!どこか打ち付けたのかい?!どうしてこんな事に…………」
「ごめんなさい……ロザリアを守れなくて…………」
「喋らないで…………ステファニー……君は勇敢に戦って友達を守ろうとしたんだね…………ごめん、駆けつけるのが遅くなって――」
ヒルドの美しい目から涙が――――
「そんな顔しないで……あなたはどんな時も私の王子様よ。ずっと…………一番に駆けつけてくれる王子様だから……」