辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~
ダンスのレッスンを少し覗いたら、ロザリーを気遣う講師にもっとレッスンをしてほしいと言うロザリーを見て、芯が強く、負けず嫌いなのだと感じた。でもそうでなければ、あのような国で生き残る事は出来なかったのかもしれないと思うと…………複雑な気持ちだった。
私はロザリーの為に最高級のドレスを用意した。デザインにも関わって、彼女を女神のような装いにするべく密かに着手していたのだ。
そのドレス姿を見た時、目が眩んだ――――――私の妻はなんて美しいんだろう――――本来ならドレスなど着ていなくても十分美しいのだけど、それでも…………自分が制作に関わったドレスを着ているという事がより一層美しく思わせてくれる。
そんな美しい妻を誰にも見せたくない衝動に駆られる。
ロザリーに窘められ、何とか踏みとどまったが、ドレス姿というのは危険極まりないと痛感した。
舞踏会に到着し、ホールに入ると、国中から集まった沢山の貴族たちがすでに到着していた。ロザリーは敵国の王女だった為、貴族たちの視線が一斉に彼女に集まる…………そんな視線に負けず、凛と立つ姿がまた美しくいじらしい……
私は自分の知り合いたちに彼女を紹介して回った。私の知り合いは事情を知っているので、変な態度を取る者はいなかった。
陛下への挨拶をする順番が回ってきた時も物怖じする事なく、自身が思っている事を述べて陛下に感謝の意を述べるロザリーを見て、とても誇らしくなった。やはり彼女は王女なのだな…………陛下も優しく微笑まれ、私はホッとしたのだった。