辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~
一緒にダンスをして、楽しい時間を過ごした後、ロザリーが喉が渇いているようだったので飲み物を取りに行った。しかし戻ってくるとどこにもロザリーの姿が見えない……ステファニーとヒルドのところに行き、ロザリーの行方を聞くと、ステファニーと一緒にお喋りをする為にサロンに行ったのだと言う。
ヒルドに言伝を頼んだが私が戻ってきたらしい…………そういう事なら仕方ないな。社交界では友人関係も大事だ、ステファニーとサロンでお喋りをしているうちに人が集まってくるだろう。そうしてロザリーに友人が出来ればいいな、くらいに思っていた。
しかし、ヒルドがステファニーに会いに行き、私もロザリーの顔を見ようと後に続いていたところ、状況が一変する――――
「テオドール!ロザリアが!!」
「?!」
私は急いでホールの扉から出ると、ステファニーが倒れ、遠くに男が走り去っていくのが見える。まさかあの男がロザリーを……!
無我夢中で追いかけたが、男の姿は闇夜に消えて行った………………しばらくその近辺を探したが見当たらず、このまま探していても時間の無駄だと判断した私は舞踏会に戻り、陛下に今起こっている事態を告げる事にした。
廊下ではヒルドがステファニーを抱き上げ、客室に連れて行こうとしていた。
「ステファニーは大丈夫か?」
「テオドール…………ロザリアを助ける為に戦ってくれたけど、幸い打ち身で済んでいるみたいだ……ステファニーを休ませてくるよ。すぐに手伝えなくてすまない……」