辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~



 一緒にダンスをして、楽しい時間を過ごした後、ロザリーが喉が渇いているようだったので飲み物を取りに行った。しかし戻ってくるとどこにもロザリーの姿が見えない……ステファニーとヒルドのところに行き、ロザリーの行方を聞くと、ステファニーと一緒にお喋りをする為にサロンに行ったのだと言う。


 ヒルドに言伝を頼んだが私が戻ってきたらしい…………そういう事なら仕方ないな。社交界では友人関係も大事だ、ステファニーとサロンでお喋りをしているうちに人が集まってくるだろう。そうしてロザリーに友人が出来ればいいな、くらいに思っていた。



 しかし、ヒルドがステファニーに会いに行き、私もロザリーの顔を見ようと後に続いていたところ、状況が一変する――――


 「テオドール!ロザリアが!!」

 「?!」


 私は急いでホールの扉から出ると、ステファニーが倒れ、遠くに男が走り去っていくのが見える。まさかあの男がロザリーを……!


 無我夢中で追いかけたが、男の姿は闇夜に消えて行った………………しばらくその近辺を探したが見当たらず、このまま探していても時間の無駄だと判断した私は舞踏会に戻り、陛下に今起こっている事態を告げる事にした。


 廊下ではヒルドがステファニーを抱き上げ、客室に連れて行こうとしていた。


 「ステファニーは大丈夫か?」

 「テオドール…………ロザリアを助ける為に戦ってくれたけど、幸い打ち身で済んでいるみたいだ……ステファニーを休ませてくるよ。すぐに手伝えなくてすまない……」
< 155 / 212 >

この作品をシェア

pagetop