辺境伯様と白い結婚~敵国の王女のはずが旦那様の甘やかしが止まりません~
「………………どうして、あなたがここに?」
「…………シーッ…………あなたが連れて行かれるところを見て、こっそり誘拐犯になりすまして荷馬車に乗り込んだのです……荷馬車の連中は御者以外は寝かせています、安心してください」
「レナルド…………ありがとう。それにしてもあなたは何者なの?」
「…………申し遅れました、私は国王陛下直属の護衛騎士です。普段は表に出る事はないので、私の正体を知っている者は王族の方以外はほとんどいません。旦那様に一時見破られそうになった事もあったのですが、なんとか解雇されなくて良かったですけど」
庭師だったと思っていたお兄さんが、国王陛下直属の護衛騎士…………
「どうしてそんな方がベルンシュタットのお城に?」
「…………旦那様があなたを妻に、と進言した事は知っていますよね?」
「ええ……」
「あなたがリンデンバーグでどのような扱いを受けていたか、陛下は全て分かっていました。リンデンバーグを攻め滅ぼさなかったのもあなたの存在があったからです……そこへベルンシュタット辺境伯があなたを妻にと提案してきたので、これであなたの身柄をボルアネアに来させる事が出来ると……」
私はレナルドの説明を聞いてもいまいち理解出来なかった。国王はなぜ私にそこまでの事をなさるの?同じ王族とは言え、全くの他人なのに…………
「ちょっ、ちょっと待ってレナルド…………なぜ陛下はそこまで……」
「……………………やはりあなたは何もご存じないのですね…………リンデンバーグ王め………………最初から順に話します。まず奥様の出自から……あなたのお母上、ベラトリクス様は陛下の妹君です……」